ayanologはてな館

主に東京の東側で暮らしている私の日々を、ごはんやおやつの話を中心につづります。ayanoのblogなのでayanolog。夏の間はかき氷専門ブログ「トーキョーウジキントキ」もやってます。2013年10月に、はてなDiaryからHatena Blogへ引っ越してきました。

東京都写真美術館「写真はものの見方をどのように変えてきたか 第1部 −誕生−」

まだまだ続く、日曜日の話。タイフェス+写真展のはしごと、ずいぶん盛りだくさんな一日だったもんで…。

銀座で針穴写真を見た後は、日比谷線に乗って恵比寿へ。東京都写真美術館の開館10周年記念展示「写真はものの見方をどのように変えてきたか 第1部 -誕生-」を見てきました。
1年かけて、「誕生」「創造」「再生」「混沌」の四部作で展示をするという、とっても気合いの入った企画です。

Ebisu garden place
魚眼レンズで撮った恵比寿ガーデンプレイス。写真美術館は、このなかにあります。

さて、展示一回目のテーマは「写真の誕生」。19世紀前半にヨーロッパで生まれた最初の写真技術、タルボット…って、名前は聞いたことあったけど、こういうものなんだあ…と素直に驚き。

初期の写真は、驚くほど長い時間露光しなくてはいけなくて、写る人はとても大変だった、というのはよく聞く話ですが、「ネックホルダー」なるものが使われていたんですね。そんなこともこの展示で知りました。

さらにびっくりだったのが、初期に撮られた写真は、死者のポートレートが多かったということ。ベッドで眠っている、死んだ女性や赤ちゃんの写真が、実際にいくつか展示されています。理由はもちろん「動かないから」。

Ebisu Garden Place
これも魚眼レンズで撮ったお花。

私は史学科出身なんですが、卒論や修論を書くときにずいぶん、フランス人の東洋趣味本を観ました。東洋趣味本というのはつまり、フランス人がオリエンタルな国々に旅行をして、そこの見聞記を書くわけです。テキストだけじゃなくて、絵師も同行して、非常に精密なスケッチを描き、そのテキストと絵を見て、当時のフランス人は遠いオリエントに思いをはせていたらしいのですね。私は18世紀後半〜19世紀前半が専門だったこともあって、見ていたのはほとんどそのころの本だったんですけど、その数十年後には、絵が写真に変わっただけの、同じような本がたくさん作られていたんだなというのもちょっとした驚きでした。なんというか、本の作りが、イラストだった時代と写真になったあとと、全然変わらないのですよ…。

ヨーロッパ人が残した写真だけでなく、アメリカの南北戦争の写真もスライドでたくさん見られます。死んだ兵士がね、みんな靴下しかはいてないんですよ。敵も味方もみんな貧しいから、殺した相手の靴を持って行ってしまうのです…あの写真は切なかった。

A Cafe
これは、東京都写真美術館のはじっこにあるカフェ。吹き抜けっぷりと、椅子のカラーリングが好き。

日本の幕末の写真もいっぱいあります。今の写真とは違って、失敗せずに写すのは大変なので、もう写ってるだけで満足なんですよね。バック紙が切れてたりするのが平気で後ろのほうに写ってたり。構図もみんな一緒だし。

でも自分だって、写真撮るようになった最初の頃は、写るだけでなんだかうれしかった。花があれば何も考えずに寄ってど真ん中に入れて撮ったりして。今はさすがにちょっとは考えるようになったというか、ない知恵絞って撮るようになったけれど。

ということは、私はそろそろ「誕生」から「創造」に移ろうとしてるのかしらん?5月末から始まる、第二部の展示が楽しみです。通しチケット買っちゃったから、なくさないようにしなくちゃ…!