キヤノンが、新人写真家の発掘のために行っているコンテストが「写真新世紀」。「写真新世紀展2005」と題し、12月11日まで、東京都写真美術館で今年の受賞作品が展示されています。横須賀功光を観に行ったとき“入場無料”につられて、こちらも見学してきました。
感想は…うーん、どうなんだろうなあ。優秀賞受賞者は6組7名いるんだけど、すごいなーと思ったのは西野壮平氏の「Diorama Map」
くらい。
Diorama Mapは、右上の写真で右から2ページ目のモノクロ写真。これじゃ全然見えないので説明すると、街をさまざまな位置から撮影して、その写真を細かく切り、地図に模して貼り合わせてコラージュしたものです。東京だと東京タワーだのBIG EGGだのが写っていて、道路なんかも小さな写真が貼り合わさってできていて、遠くから見るとなんとなく東京の地図っぽく見える。だけどよ〜く見るとかなり位置関係はインチキ、という面白い&力業な作品であります。これは「さすが受賞作品」と思いました。
あとの受賞作品は…うーん、ちょっといいなあとか思うモノはあったけど、「すげー!!!」と感心しまくり、という写真はなかったなあ。…って、なんだか偉そうですいません。
優秀賞よりも、その前に展示されていた佳作(多分)のほうが面白そうでした。時間がなくて全部丁寧には見られなかったけど、この日見たなかでインパクトが強かったのは、「豚」という作品。渡辺一城さんという人の写真なんだけど、これは凄かった。本当に凄かったです。
養豚場の豚の一生――子豚から始まり、育ち、交尾をし(というか“させられ”)、屠られて肉になる――を写真で撮っているんだけど、所々絶妙なタイミングで写真の順番が入れ替えられていたり、精肉店を営む老夫婦(作者の祖父母らしい)のシュールな写真が差し込まれていたりして、通して見ていくとなんともいえない気持ちになります。
構成もすごいが、写真もすごい。豚の表情がものすごくリアルに撮られているのです。冷徹な視線と確かな技術で作られたなんともシュールな写真集なので、もし機会があれば、是非是非是非見てみてください。綺麗〜とか、素敵〜な写真じゃないけど、なんとも心に残る作品でした。
それにしても、なんだか最近しょっちゅう写美に行ってる気がする…12月17日からは「 植田正治:写真の作法」と 「日本の子ども 60年――21,900日のドラマ」、12月24日からは「写真展・岡本太郎の視線」が始まるので、また行かなくちゃって感じです。これだけしょっちゅう行くのなら、友の会の会員になってしまおうかなあ(^_^;
あ、植田正治は「写真はものの見方をどのように変えてきたか 第3部 −再生−」で、砂丘に家族を立たせた写真が展示されていた人。第3部で紹介されていた12人の写真家の中で、ダントツで一番印象が強かった人なのです。あのとき「ほかの作品も見てみたいな」と思っていたのが、こんなすぐに見られることになってうれしいなあ。…当分、週末は恵比寿通いが続きそうです(苦笑)