ayanologはてな館

主に東京の東側で暮らしている私の日々を、ごはんやおやつの話を中心につづります。ayanoのblogなのでayanolog。夏の間はかき氷専門ブログ「トーキョーウジキントキ」もやってます。2013年10月に、はてなDiaryからHatena Blogへ引っ越してきました。

江戸東京博物館「葛飾北斎―富嶽三十六景展」

江戸東京博物館に行った目的は、からくり人形ともう一つ、「葛飾北斎―富嶽三十六景展」を観に行くことだったのでした。葛飾北斎の生まれは本所割下水――って、ちょうど今江戸東京博物館があるあたり。言われてみれば、錦糸町から両国にかけて「北斎通り」ってあるもんね。そっか、そういうつながりもあったんですねえ。

海外でも評価の高い北斎の絵ですが、本人は結構謎の多い人物ですよね。ものすごい変人だったとか、ものすごい貧乏暮らしだったとか、しょっちゅう名前かえてたとか。あと隠密説なんてのもあったよなあ。えーと、うろ覚えなんですが、海防のためにどこに砲台を設置したらいいか、それを話しあうために、写真の代わりになる絵が必要になり、その使命を受けて北斎が精緻な絵を描いた…とかなんとか。だから北斎は海岸線を描いた絵が多いんだ、みたいな話です。うーん、何で読んだんだったか忘れてしまったし、ウソかホントか小説のネタかも分からないような話題ですが。

…おっと、話がそれまくってしまいました。江戸東京博物館の「葛飾北斎―富嶽三十六景展」は、富嶽三十六景を全部まとめて見られるという素敵な企画。36景にプラスして、裏富士10枚も見られます。

hokusai.jpg

実は私、北斎の版画の実物見たのはこれが初めて。多分語り尽くされていることなんだと思うけれど、その大胆な構図と、細かなところまで描き込んだ緻密さ、そこはかとなく漂うかわいらしさ、絵によっては漂う寂しさ…まさに、心わしづかみって感じ。すごい、すごすぎる。

強く惹きつけられて、かなり長い時間をかけて見ました。有名な「赤富士」みたいに、富士山がどどーんと描かれているものもいいんだけど、ちょこんと富士が見えるような絵もいいんだよね。一枚の絵の中に、ものすごくたくさんの要素が描き込まれているんだけど、それぞれが実に絶妙な構図で配置されているあたりもすばらしい。ガラスケースにへばりついて舐めるように見た後、一度離れて見直して、一枚の絵を何度も堪能しながら見学してしまいました。

三十六景の中には江戸の風景を描いたものも多く、下町育ちの私にとってはなじみの深い場所もたくさんあるわけで。「日本橋から富士山がこんな風に見えたのか!」とか、「ああっ、万年橋はむかしこんなんだったんだ〜(嬉)」とか、一人ではしゃぎまくり。ああ、江戸時代には東京のいろんなところから富士山が見えていたのだなあ…。

それにしても感心したのが、この一連の力作が、北斎が70歳くらいから描かれたものだというもの。
先日スキーに行ったときに「私も歳かなー」なんてがっくりくる場面があったんですが、70の半分の歳にもなってないのに、そんな甘ったれたこと言ってちゃいかん!と自分を恥じましたよ。

なんだかまとまらなくなっちゃったけど、大満足の富嶽三十六景展だったのでした。常設展+からくり展+富嶽三十六景展で600円は安すぎて申し訳ないくらい。強くオススメしときます。一つだけ残念だったのは、ガラスケースの手前と奥に互い違いに作品が貼られていて、手前のものはいいけれど、奥のものはちょっと見にくかったこと。次はルーペ持っていくかなあ…。

#それにしても、去年の秋の北斎展を見そびれたのは残念すぎる! ものすごく人気で大混雑だと聞いて、おそれをなして行けなかったんですよね。うう、返す返すも悔やまれる…私のバカバカバカ〜(涙