ayanologはてな館

主に東京の東側で暮らしている私の日々を、ごはんやおやつの話を中心につづります。ayanoのblogなのでayanolog。夏の間はかき氷専門ブログ「トーキョーウジキントキ」もやってます。2013年10月に、はてなDiaryからHatena Blogへ引っ越してきました。

没後30年 高島野十郎展

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三鷹へいった目的はコレでした。「没後30年 高島野十郎展」(「高」の字はホントは旧字)。
三鷹市美術ギャラリーで開催中で、7月17日までです。興味がある方はお早めに。

私は全然知らなかったのですが、週刊誌かなにかの紹介がものすごく気になって、風邪でだるい体で行ってきました(こういうことしてるからなかなか治らないんだよなあ…)。テンション低かったにも関わらず、でもとてもよかったです。行って良かった。

明治23年生まれ、昭和50年没の高島野十郎。うちの祖父の1世代上くらいの人かぁと思いながら絵を見ていました。福岡県久留米市に生まれた野十郎は、東京帝大農学部水産学科を首席で卒業。しかしその後画家への道を選びます。会場では、野十郎が鉛筆で書いた魚や貝類のスケッチも展示されていて、それがまたとても上手いのです。線の略し方、テキストの入れ方も的確で、彼がこの後ボタニカルアートみたいな超写実的な絵に進んだらどうなったんだろう、と思わせるような絵でした。

会場の最初のところに、野十郎の自画像と、ポートレート写真が飾られているのですが、まるで別人です。写真を見る限り穏やかで優しそうな人なのですが、自画像はものすごく厳しい感じ。

さて野十郎の絵ですが、かなりの点数が展示されています。たくさん展示されていることもあって、見ているといろいろ思うところはありましたが、初期の作品群で特に強く思ったのが、「もやとか雨とか霧とか、形のないモノを描く人なんだなぁ」ということ。桜や蓮など、ピンク系の色の花が咲いている絵の暖色かぶり(花がもやになっているような独特の雰囲気)も独特です。

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これは菜の花の絵。非常に緻密に描き込まれた絵で、間近で見るとすごい迫力。
近くでじーっと見つめていて思ったのですが、実際の筆跡以上に、見る人の目に細かく精緻に映るタッチなんですよね。長々と眺めて……いやちがうな、長々と見入ってしまいました。

あと、果物が転がってる絵とか、定番の静物画も数点あります。彼はりんごを描くのが好きだったようで、とくにリンゴの絵はたくさんあります。この手の静物画ってあまり個性が出ない気がして、正直あまり好きではなかったんですが、彼のはなんとも言えない味があって良かったです。初めて静物画に惹かれたかも…。
中でも印象的だったのはからすうりの絵。最後に物販でポストカードが売られていたけれど、それは全然いいと思わなかったんですよね。あれは実物だけの良さなのかも。

花とか月とか蝋燭とか果物とか植物とか、ありきたりなものを描いているのに、なぜかものすごく存在感があるのが不思議。存在感…っていうのもちょっと違うなあ。独特の怖さというか、凄みがあります。これは実物を見ないと分からないので、機会があれば是非見て欲しいなあ。

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最後のコーナーは、蝋燭の絵がずらりと。照明を落とした一角に、短い蝋燭に長〜い炎がゆらめいている絵が何枚も何枚も並んでいます。暗い中にスポットが当てられた蝋燭の絵を見つめていると、不思議な気持ちになってきます。絵のはずなのに、熱を持った本物の炎のように思えてくるんですよ。

彼は晩年、同じような蝋燭の絵を何枚も何枚も描き続けて、描くと近所の人にあげてしまっていたそうです。何を思って蝋燭を描いていたのか、思いを馳せてしまいました。



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