ayanologはてな館

主に東京の東側で暮らしている私の日々を、ごはんやおやつの話を中心につづります。ayanoのblogなのでayanolog。夏の間はかき氷専門ブログ「トーキョーウジキントキ」もやってます。2013年10月に、はてなDiaryからHatena Blogへ引っ越してきました。

「若冲と江戸絵画」展(4)動物の絵に注目してみる

いつまで続く気だ、という感じの「若冲と江戸絵画展」エントリ。書いてる本人が終わる気がしなくなってきたのでペース上げていきます。(5)で終わりますので、いましばらくお付き合いのほどを…

今回の企画展では、同じ題材を描いた違う作者による絵がいくつかあります。たとえば動物では「猛虎図」「鯉魚図」など。あとは美人図とか達磨を描いたものもいろいろ。人によって描き方がぜんっっぜん違うので、その辺を比べながら観るとより楽しめるのでは、と思います。

さて、以下に虎と鯉を除いた動物モノの絵のうち、とくに印象的だったものを並べてみました。

長沢芦雪「白象黒牛図屏風」ushitozou.jpg

其一の「青桐、紅楓図」や若冲の「鶴図屏風」、酒井抱一の「十二か月花鳥図」(これは後述)と並んで、今回の企画展の中で最も印象的だったのがこの絵です。長沢芦雪の「白象黒牛図屏風」。

屏風いっぱいにはみ出そうなくらい大きく描かれた黒い牛と白い象が向かい合っており、牛の横には白い子犬が、象の背中(おしり?)には黒い鳥が止まっている、という絵柄。白と黒の使い方が効果的で、構図の大胆さも相まってものすごくインパクトが強い絵です。「青桐・紅楓図」とはまた違う意味で「こういう日本画もあるのか!」と思いました。まさに傑作。

ちなみに長沢芦雪の絵はかなりいろいろ展示されていて、しかもどれもイイ!

まず展示会場に入って最初に出迎えてくれる「猛虎図」。私は今回展示されている数々の「猛虎図」の中で、この長沢芦雪の絵と片山楊谷の絵が一番好きです。

そして「牡丹孔雀図屏風」。師である円山応挙が描いたクジャクの絵を模写したものですが、羽根のリアルな美しさ、りんとした孔雀の目つき、細かな描き込みなどなど、ものすごく良くできた傑作・大作です。同じ孔雀を描いても、若冲とはまたひと味もふた味も違うところが面白い。

そうそう、幽霊を描いた絵もありますよ。幽霊の絵というと円山応挙を思い出すんですが、結構違います。

●森狙仙「梅花猿猴図」「猿猴狙蜂図」sosen.jpg

若冲が鶏を描く天才だとしたら、猿を描く天才はこの人だなあと思ったのが、森狙仙(もりそせん)

ふさふさとした毛の質感、なんともいたずらっぽい(というか人間くさい)表情、仕草の自然な愛らしさ、全体に漂う空気など、完璧!!! 猿を描かせたらこの人の右に出る人は居ないと思うのです、きっと。左に挙げた絵は、下の部分だけを切り取ったモノ。ほんとはこのお猿さんの視線の先にはハチが飛んでます。

今回の「若冲と江戸絵画展」では、「梅花猿猴図」「猿猴狙蜂図」と、森狙仙が描いたお猿さんの絵を2枚観ることができます。特に梅花猿猴図のほうが毛のふさふさっぷりが楽しめるかと。お見逃しなく!

●山口素絢(そけん)「美人に犬図」soken01.jpg

ラストはこれ。山口素絢はやはり円山応挙の弟子だった人物だそうです。

この絵では、美人の足下に子犬がじゃれついている様子が描かれています。主役の美人が、浮世絵の美人画とはちょっと違って、結構リアルにいそうな美人さんなところがまず素敵。ちょっと(けっこう?)はだけた胸元や、着物からチラチラ見えてる赤い襦袢がセクシーーー♪

しかししかし、一番気になったのは美女ではなくてじゃれついてる子犬だったり。この絵、キャプションには「子犬は応挙風の描写である」とあるのですが……そ、そうかなあ。応挙風かなあ???

↓に犬の顔をアップにしてみました。よかったらどうぞ。

soken02.jpg

この子犬、なんだか顔がいやらしくないですか?(笑)
応挙の描く子犬は、こんなにいやらしくない!もっとかわいくて優しげだと思う!!
…といっても私も、去年江戸東京博物館の円山応挙展で数点見たくらいなんですけど。

そんなこんなで「美人に犬図」、妙に印象に残ってしまいましたとさ。


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