ayanologはてな館

主に東京の東側で暮らしている私の日々を、ごはんやおやつの話を中心につづります。ayanoのblogなのでayanolog。夏の間はかき氷専門ブログ「トーキョーウジキントキ」もやってます。2013年10月に、はてなDiaryからHatena Blogへ引っ越してきました。

宮島達男「Art in you」@水戸芸術館

3月20日は祝日だ! そう気付いたらいてもたってもいられなくなり、突然水戸に行きたくなった。かえるさんに連絡して、急遽ロングドライブ決定。

水戸芸術館では今、宮島達男の個展をやっているのだ。宮島達男という名前を聞いてぴんとこなくても、「デジタルカウンターが1から9まで数字を刻む現代美術の人」といったら「ああ!」と思われる方も多いのでは。「都内の梅はもう盛りを過ぎてしまったけど、水戸ならちょうど見ごろなんじゃない? 一眼レフなんか持って行くと楽しいんじゃない?」なんて下心もアリアリです。

しかし、その目論見はいろいろ裏切られる形になったのだった。まずは天候。ここ数日の暖かい日が嘘のように寒かったこの日。冷たい雨が降り、北風が吹きつける中では梅を撮るなんてとても無理だ・・・「宮島達男の前に、偕楽園行っちゃう?」なんて目論見は到着早々に崩れたのでありました。

で、メインイベントの宮島達男。入場券にハンコを押してもらい、最初に観るのは初期代表作の「Death of Time」。暗い部屋の中に赤いダイオードが1列に並び、数字をカウントアップしています。


正直、「来て良かった」と思ったのがこの「Death of Time」だけだったんですよね……。次点が「HOTO」かな。おそらく「宝塔」なのだと思います。ロケットのような形のオブジェの周りにさまざまな色、サイズのカウンターを散りばめた作品。周りが鏡になっていて、作品を見ると、映りこんだ自分の姿を必ず観ることになる、という趣向。

高さ6メートルという大型作品で、今回の個展のために作られた新作なのだけれど、この見せ方は惜しいなあと。なぜあの白い壁の明るい部屋に設置したのだろう……。暗闇のなかにおいた方がきっと観る者の心に訴えかけられるのに、と思った人は私だけではないはずだ、きっと。

あとの作品は、残念ながらどれも私にはピンと来ませんでした。ワークショップの参加者の肌にペンキ?で数字を記す「Counter Skin」という写真作品群。色を塗った下に下書きの線が丸見えなのはどうかと思うし、写真としての出来が超普通。彩度が高くて派手な色合いは一見印象的だけど、それだけなんですよねえ……背中の向こうに青い海と水平線が見える、とか、女の子のうなじの向こうに原爆ドームがぼやけて見える、とか、いくら直球勝負にしたってひねりがなさ過ぎじゃない? 壁に手書きの数字を描いて時計風にしたもの。「0」のところには鏡のカケラが埋め込んである。カウントアップする男を描いた線画(ヘタウマ?ただのヘタ?)、参加者がパソコンのソフトに自分の死亡予定日時を入力することで成り立つ「Death Clock」……むぅ〜〜〜(嘆息)

私、東京都現代美術館にある作品「Keep Changing, Connect with Everything, Continue Forever」(それは変化し続ける それはあらゆるものと関係を結ぶ それは永遠に続く)が大好きなんですよ。もう理屈抜きで好き。初めてあれを観たときの感動をもう一度味わえるかな、という甘い期待も今回の個展に対しては抱いていたのですが、残念ながらキュレーターの目指す方向性と、私の思っていた希望とはまったく一致しなかったみたい。

ウダウダと書いてますが、そんな感傷を吹き飛ばすほど強烈な伏兵がいたのでした……続く。