3枚の国宝風神雷神図屏風
10月1日までだったので、もうとっくに終わってしまってるんですが……帝国劇場のあるビルと同じ、東京・日比谷の出光美術館でやっていた「国宝風神雷神図屏風」を見てきました。私が行ったのは結構会期ラスト近くでしたです。出光美術館って、会社から一番近い美術館なんだけど、入ったのは初めて。中こうなってるのか〜、なんて変な感心したりして。
さてこの展覧会、なかなか面白い内容でした。国宝「風神雷神図屏風」は、桃山時代〜江戸時代初期に俵屋宗達が描いた傑作です。それから1世紀くらいあと、京の絵師・尾形光琳は宗達の作品を模してやはり風神雷神を金屏風に描いたのでした。さらにさらに時は流れ、幕末の絵師・酒井抱一は尾形光琳の風神雷神図屏風を真似て、やはり自分も風神雷神図屏風を描いたのです。この3作品が60余年ぶりに一堂に会するまたとない機会……ということで、出光美術館はいつにない賑わいでありました。
これを見に行くまで知らなかったんですが、抱一は光琳の風神雷神図を、オリジナルと思っていたそうなんですよね。私は、全部で3作あることをもちろん抱一は知っていたと思いこんでいたので、ちょっと驚きました。そうだったのか。
で、この企画展では3人の風神雷神図屏風を展示しています。配置的に、一度に三枚を一緒に見ることはできないので、前に見た風神雷神図屏風を頭に残しながら、次のを見に行く感じです。俵屋宗達のは人だかりがすごくて、とてもじゃないけど落ち着いて見られなかったのが残念。
それぞれの違いがよくわかるように、「眼」「手」「足」などパーツ別に切り出して拡大したものを、それぞれ並べて展示してあるのも面白かったです。「宗達と光琳」「光琳と抱一」という感じで比較しているんですが、確かにこうやって見せてもらうとよく分かる。あとついでにいうなら、なんだか美術史の学生さんの研究発表のようでもあった(笑)。さらにいうと、普段は「たくさん絵が飾ってあるけど説明は最小限」という展示にに慣れているので、「展示点数が少なくて、解説がたっぷり」という展示方法はかなり新鮮でしたです。
さて、これを見に行ったひとは必ず「で、3人の風神雷神図のうち、どれが一番好きだった?」という話になると思うのですが、私は光琳と宗達かなあ。抱一のはあまり、好みではありませんでした。絵としては光琳のが好き、宗達は仏像で見る風神雷神に近くて、私が頭でイメージする風神雷神に近かった。
…なんていいつつ、実は風神雷神図屏風のあとにも、お楽しみが待っていたのでした。
今回展示されている、光琳の風神雷神図屏風の裏に抱一が描いていたのが「夏秋草図屏風」。そう、上野の東博が持っているあの絵です。夏に上野で「若冲と江戸絵画展」を見たついでに、一緒に見た方もいるのでは。その関係、というわけでもないのですが、風神雷神図屏風のあとに、「琳派芸術の継承と創造」と題して、燕子花や梅、そして秋草図などを楽しめるのです。
正直、風神雷神図屏風よりも、こっちのほうが良かったのは私だけ…?(^^; 酒井抱一については以前、ここで詳しく書いていますが、彼の描く植物の絵は本当に素敵。いつまで見ていても飽きません。抱一だけでなく、其一の絵もあって堪能いたしました。風神雷神を見に行って、花の絵を見てうっとりしてくるのもどうよ、という感じなんですけどね(^^;;;;;
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