ayanologはてな館

主に東京の東側で暮らしている私の日々を、ごはんやおやつの話を中心につづります。ayanoのblogなのでayanolog。夏の間はかき氷専門ブログ「トーキョーウジキントキ」もやってます。2013年10月に、はてなDiaryからHatena Blogへ引っ越してきました。

映画「サンキュー・スモーキング」はシニカル&コミカル

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映画「サンキュー・スモーキング」を観てきました。全然話題になってない作品だけど、これ、かな〜り面白いです。あまりハリウッド映画好きじゃないんだけど、久しぶりにグッとツボにはまったなあ。

主人公のニックは、タバコ業界のロビイスト。日本以上の嫌煙ムードのアメリカで、テレビの討論番組に出て嫌煙団体の人と闘ったり、ハリウッドの有力者に直談判して映画の中にタバコを吸うシーンを入れてもらったりしています。「タバコは体に悪い」と攻め立てる人たちを相手に、立て板に水(以上)のディベートテクニックで、相手を言い負かし、煙に巻くのがお仕事です。

そう、この映画のテーマは実はタバコじゃなくて“ディベート(討論)”。嘘はつかないが、議論のテクニックで黒を白と言いくるめるテクニックはホントに神業。「タバコが体に悪い」ことを否定するのではないのに、巧みな議論のすりかえで「タバコで人が死ぬ」と言い立ててくる相手を言い負かすのがなんとも痛快・軽快。頭の回転がすこぶる速いニックの会話には、つい笑ってしまいます。アハハ、じゃなくて、ニヤリ、な笑い。こういうのをユーモアっていうんだよなあ。

天才的な話術でタバコバッシングと戦うニックですが、クチは災いの元、になったりもして(劇中、思わぬ罠にはまります)なかなか大変。彼の気のおけない友人が銃器や酒のロビイストだったりするあたりも面白い。酒とタバコと銃、3悪?のロビイストが話し合うシーンはニヤニヤ笑ってしまいました。

この話のもう一つの軸になっているのが、ニックと息子との関係です。

ニックは実はバツイチの子持ち。別れた妻がひきとった息子ジョーイと週末は一緒に過ごします。「情報操作の王」なんて異名をとるニックのことを、神とあがめるジョーイ。ジョーイに、自分で考え、自分で選択することの大切さを説くニックは、すごくいい父親だなあと思いました。そう、自分の頭で考えなくちゃね。この子役さん、すっごく印象に残りました。

そういえば本筋とは全然関係ないのですが、途中出てくる映画業界の実力者が、ものすごく勘違いした日本かぶれだったのが印象的でした。昔深夜番組で山田五郎がやっていた「奇妙な果実」という“海外映画に出てくる勘違いニッポンを紹介する”というコーナーがあったんですが、あのコーナーがまだあったら、絶対紹介されるだろうなあという勘違いっぷり。だって、サムライが玉砂利をほうきで整えていたり(枯山水??)、赤いキンキラの女性用着物をガウンのように男性出演者が羽織っていたりするんですよ???

身の回りでこの映画を観たという人はほとんどいないので寂しいのですが、ホントにとっても面白かったです。タバコの映画ではありますが、別に「タバコを買え」とも「タバコをやめろ」とも言ってこないので、嫌煙家の人も愛煙家の人も楽しめるんじゃないかな。オススメの映画です。

#上の画像、左半分は日本版チラシ、右半分は米国版チラシ。デザイン的にどちらがお好き?

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