ayanologはてな館

主に東京の東側で暮らしている私の日々を、ごはんやおやつの話を中心につづります。ayanoのblogなのでayanolog。夏の間はかき氷専門ブログ「トーキョーウジキントキ」もやってます。2013年10月に、はてなDiaryからHatena Blogへ引っ越してきました。

天才と奇才の師弟 応挙と芦雪展(後期)

話がブチブチに切れていますが…奈良に行った話の続きなど。中谷堂でよもぎ餅を食べたあと近鉄奈良駅で関西在住のP氏と待ち合わせ。一緒に「天才と奇才の師弟 応挙と芦雪展(後期)」をみに、奈良県立美術館へ行きました。

師匠・円山応挙と、その弟子・長沢芦雪。それぞれの作品を、似たテーマの絵ごとに並べて展示し、二人がそれぞれどのように描いたかを並べて見られるという趣向の企画展です。二人とも江戸時代中期の絵師ですが、作品を並べて見ることによって、「たしかに応挙は天才だし芦雪は奇才だよなあ」と妙に納得。「このキャッチ考えた人、うまいこと言うよねえ」とP氏もしきりに感心しておりました。

円山応挙は以前江戸東京博物館で大規模な展覧会をやったときに大分見ていたこともあって、今回は特に、主に芦雪の作品を楽しみにしていました。夏に見た、ブライスコレクションのときに芦雪の牛の絵がすばらしく良くて、それ以来「たくさん芦雪の絵をみる機会があればいいのになー」と思っていたのです。そんなわけで今回は願ったりかなったり。ブライスコレクションの芦雪の作品についてはこちらを参照

芦雪の何が魅力って、大胆な構図だと思うんですよね。ブライスコレクションのときの「白象黒牛図屏風」もそうですが、今回だと「群猿図」かな。左右の屏風絵で、片方は割と普通なんだけど、もう片方が変。三角の尖った山の上に、猿が腕組みしながら一匹座ってる、という……自分が写真を撮るときも構図重視なので、大胆な構図の絵を見るとハッとするんです。

さてさて、「日本画より西洋画のほうが詳しいんだけど」と言いつつ、やっぱり詳しいP氏が「芦雪と言えばこれ」とオススメしていたのがコレ。「山姥図」です。

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ものすごく怖い顔の山姥に、なぜか無邪気にすがりついている金太郎(山姥の子どもらしいです)。このサイズではさすがに分かりませんが、実物を見ると、乱杭歯の生えた痩せた歯茎が怖すぎる…(^^;;;;;

こんな怖い絵を描いている芦雪ですが、かわいい絵も描いてたり。それが「唐子琴棋書画図」。子どもたちが文字を書いたり絵を描いたり、将棋を指したりする絵です。でも、そんなに愛らしい絵を描いても、普通じゃ終わらないのが芦雪サマ。よーく見ると、へんなところが。弟にヒモ付けてるお兄ちゃんもいたなあ。

精緻な筆致で写実的に描く応挙、思い切った構図&大胆な筆遣いで描く芦雪。師匠と弟子と並んでいると、ついつい私の目は芦雪に行ってしまう……のですが、応挙のいくつかの絵には「おおおおおおお!」と声を上げそうになりました。絵から離れられなくなるくらい魅力的!

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中でも印象的なのがこれ。応挙の「雲龍図」です。このサイズでは伝わらないけれど、この龍の迫力、もくもくとうずまく雲の迫力といったらすごい!かなり大きな絵ということもあるのですが、緻密にしてダイナミックな龍の姿に目が釘付けになってしまいました。いやぁ、これはホントにすばらしいっす。孔雀の絵もそうですが、応挙の大作は大きな画面の隅々まで気が配ってあって、絶妙なバランスで、しかもパーツパーツが完璧に描かれていて、非の打ち所がないんですよね。凄すぎる。

ところでこの「応挙と芦雪展」、前期と後期で完全に絵を入れ替え、というすごい構成になっていました。一部の絵を入れ替えっていうのはよくあるけど、全部の絵が入れ替えって珍しいですよね…おかげで今回は、応挙なのに一枚も幽霊の絵を見ませんでしたよ……(私の中では応挙といったら幽霊の絵なんだけどなあ)

なんだか市役所みたいな感じの奈良県立博物館、初めて行きましたが楽しめました。企画&見せ方の勝利ですね〜。なお、応挙の弟子は1000人くらいいたのだそうです。奇才っぷりは芦雪が一番だったのかしら。

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