ブータン料理「ガテモタブン」@代々木上原
代々木上原にある小さなお店「ガテモタブン」に行ってきました。ここはブータン王国の家庭料理が食べられる、おそらく日本唯一のお店。オーナーはブータンの方かと思いきや、日本人のお兄さんでした。
で、ブータン料理。トウガラシを野菜として使うという特徴があり、「世界で一番辛い料理」として話題に上ることが多いです。辛い料理はたしかに好きだけど、ただ辛いばっかりの料理はやだなあ、と常々思っているんですよね。「辛ければいい」んじゃなくて、「辛くておいしい」のがいいの!と声を大にして言いたいっ。
キュウリなどをカッテージチーズで和えたサラダ「ホゲ」。山椒がぴりりときいて爽やかにおいしい♪
ネパール餃子としておなじみ「モモ」。2種類ありました。もう1種類も食べてみればよかったなー。これも蒸したてホカホカでたまらん感じ。添えられたトウガラシペーストもおつまみとして旨いっ。
そして「パクシャバ」「エマダツィ」の煮込み系おかず2種類盛り。こういうメニューがあると、ひとりご飯のときに助かりますよね。どちらも実に素朴でしみじみ旨いんだけど、特にこのエマダツィが……すっごく辛くておいしかったーーーーーーーー!!!
エマダツィは唐辛子マーク7つの最も辛いメニューで、トウガラシをチーズで煮込んだシンプル料理。赤いトウガラシと青いトウガラシと2種類が野菜として入っていて、ちゃんと味わいが違うんです。旨旨♪♪
どの料理も「家庭料理」という感じで気取っていなくておいしかった!パクシャバ&エマダツィはレシピを発見したので、おいしいトウガラシを見つけたらぜひ作ってみようと思っています。
いやぁ、どの料理もおいしかったです。「世界一辛い料理」というキャッチフレーズが先歩きして、ある意味“変わった料理”扱いされちゃってるのがかわいそう。トウガラシを野菜として使う、チーズで煮物に味付けする、という手法に学んで、うちでもブータン料理を作ってみようと思ったくらい。検索したらレシピを見つけたので、トウガラシを見つけたらやってみようかな。
以下、ちょっと疑問じみた余談。
このお店について、Allaboutのエスニック料理ガイドさんがメルマガ(たしか)で書いていた文章が、以前から心のどこかですごく引っかかっていたんですよね。
原文を探し出せないので以下記憶で書くけれど、メルマガの内容はたしか「日本で唯一のブータン料理の店がオープンした。取材がてら食べに行ってみたのだけれど好みじゃなくて、書く筆が進まない」という話だったと思います。
好みじゃないから書く筆が進まない、それ自体は別に引っかからないんですよ(行ったけど書きにくい、というお店に出会うことは、私もトーキョーウジキントキをやってるから分かる)。キモチは分かるんだけど、彼女がこの店を好みでないと感じた理由が、私には「?」だったのです。
このお店は、日本人オーナーが切り盛りする、バーというかカフェのようなお店。ブータン料理もあるけれど、和食メニューも多いし(隣の隣の豆腐やさんの冷や奴、なんて微笑ましいメニューも)、肉屋さんから仕入れている手づくりドイツ式ソーセージなんてメニューもある。お酒も世界各国のお酒がいろいろあって、「ブータン料理『も』食べられますよ」というスタンスのお店です。
でもそれが彼女には許せなかったらしくて、そういう話がメルマガには綴られていたのでした。だけど、それって逆じゃない? と私は思うのです。
例えばトルコ料理店。お店に入るとトルコ絨毯が敷き詰められ、壁には地図や観光局のポスターがベタベタ貼ってあって、部屋のあちこちには水タバコを筆頭とするいかにもな小道具がたくさん並んでいる。テーブルにはトルコの観光ガイド本が置いてある……こういうお店っていっぱいあるけど、それってやっぱり、トルコ料理(文化)を「変わり種」扱いしていると思うのです。「1年に1回か2回くらい、知らない文化圏の変わった料理を食べてみたいよね」というお客さんにとっては、この手の“その国のテイスト満載なお店”は満足できると思う。でも、「もっと身近にトルコ料理を楽しんで欲しい」というメッセージのお店だったら、ことさら“料理以外の部分”をプッシュする必要はないと思うんですよね。
そういう観点で、私はこのガテモタブンというお店、すごく好きでした。ブータン料理を“変わった料理”として紹介するんじゃなくて、オーナーの「おいしいと思って提供するオーナーの料理の中に、ブータンの家庭料理がある」「ブータン料理も食べられるバーとして、代々木上原の街の中に溶け込みたい」というメッセージが伝わってくるような気がしたから。
もちろん、オーナーと直接話をしたわけじゃないのであくまで私の感じたことだけれど、でも『スタッフはみな民族衣装で……(以下略)』という、“ベタベタ”な店よりも、私はむしろ好きなくらいなんだけどなあ。
とはいっても、私みたいな考え方なのは少数派なのかも。一般的にはまだまだエスニック料理(という言い方もホントは失礼なんだけど、まあここではそれは脇に置いておく)って“変わり種”なのだろうし。
AllAboutのガイドさんの話から私の趣味の話になってしまったけれど、こういう“エスニック料理を特別視せず、料理そのもので勝負して地元に根付こうとしているお店”は、すごく応援したくなるんですよね。具体例を挙げるなら、たとえばこのガテモタブンであり、阿佐ヶ谷「イズミル」(トルコ料理)であり。逆に、店長が強烈な日暮里の某イラン料理のお店とかはね、やっぱり、あまり趣味じゃないんだよなあ……。AllAboutのガイドさんは、あのお店、好きなのかしら^^;;