ayanologはてな館

主に東京の東側で暮らしている私の日々を、ごはんやおやつの話を中心につづります。ayanoのblogなのでayanolog。夏の間はかき氷専門ブログ「トーキョーウジキントキ」もやってます。2013年10月に、はてなDiaryからHatena Blogへ引っ越してきました。

田所美恵子「一葉に会いたくて」

タイフェスの途中、花侍さんといっしょに銀座のポーラミュージアムアネックスへ。5月のポーラミュージアムといえば、毎年お楽しみのこの写真展です。

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田所美恵子「一葉に会いたくて」。田所さんの針穴写真を観るのが、ここ数年毎年5月のお楽しみなんです。今も机の横にはいつも、田所さんのパリ写真がマグネットで留めてあります。

初めて観たのは2005年「誰もみたことのないもう一つのパリ」。このときの写真がなにしろ、とにかく、ものすごくツボで。そして翌2006年は「静物」

2005年に初めて田所さんの写真を見たときの感動ときたらホントにもの凄くて、その後私は、柄にもなく(?)「ピンホール写真やってみたい……」なんて思ってしまったのでした。デジタル一眼のキャップに穴を開けてデジピンホール写真を量産したものの、私のデジピン写真はただのぼけぼけ写真でしかなかった…(苦笑)

2006年の「静物」は、残念ながら2005年ほどは琴線に触れなかったのでした。さて、今年は……もう、すごい。素晴らしい。むちゃくちゃよかった。

今年は、檜細工の三浦宏さんという方が作ったミニチュア写真を、田所さんが針穴写真で撮るというもの。テーマは「樋口一葉の世界」です。

田所さんの写真と、撮影した三浦さんのミニチュア家屋が両方展示してあるので、写真を見て、ミニチュアを見て、写真を見て……と繰り返し楽しめるのが素敵。

樋口一葉の小説の舞台というと、今の三ノ輪・竜泉・吉原界隈に当たるので、あのあたりで以前バイトしていた身としては非常に懐かしいエリアなんですよね。ミニチュア日本家屋はとてもよくできていて、ああ、美登利がこの柵から外を覗いていたのかな、とか、この菊の井の暖簾をお力はどんな顔してくぐったんだろう……なんて想像してみたり。「たけくらべ」や「にごりえ」を最後に読んだのってもう15年くらい前だと思うけど、ミニチュア家屋を見ているうちに、不思議といろいろ思い出してきました。

ミニチュアの家では、たこ糸が荒縄の代わりだったり、のりがはみ出していたりするのだけれど、それが写真になるとあら不思議。たこ糸じゃなくてホントに荒縄に見えるし、はみだしたのりは、桶からこぼれた水のように輝くのです。写真は不思議、ホントに不思議。実物よりも実物のように見えるよ…。

今回のポイントは、バンドエイドの箱で作ったピンホールカメラを、ミニチュア家屋に入れて撮っているというところ。今までのようにテープをシャッター代わりにすると、テープを貼る/はがすために手を動かすスペースすらとれないので、マグネットを貼ってシャッターにしたのだそうです。なるほど。

家屋のミニチュアにギリギリはいる高さのカメラで撮ったってことは、家屋の高さギリギリくらいのこびとの目で見た景色なんですよね。写真を見ているうちに、「ここで暮らせるこびとの目で見たら、この家の中がこういう風に見えるのかな」って思ったのはあながちピントはずれじゃなかったのかもしれない。

個人的には去年がちょっと好みでなかったので、今年はめっちゃくちゃ楽しめました。でも人によって受け取り方は様々だろうなあ。去年のほうがいいっていう日記も見かけたし(笑)
とはいえ、個人的には大満足だったし、つきあってもらった花侍さんも楽しんでくれてたみたいで、よかったよかった、と思ってます。


田所美恵子「一葉に会いたくて」
ポーラミュージアムアネックス (WEB)