ナディーン・ラバキー「キャラメル」
レバノンの映画を見てきました……というと、政治的なシリアスなもの?と思われちゃいそうですが、これがまったく違ったんだな。面白かったのでここでもご紹介します。「キャラメル」という映画です。
舞台はベイルートの小さな美容院。美容院ですが、脱毛とかエステっぽいこともやっており、ちょっとしたビューティーサロンってとこでしょうか。ここで働く女性たち、そして常連客に起こるさまざまな出来事を軽快に描いていきます。
妻子ある男と付き合う主人公、結婚を前にあることで悩む女性、老いと戦い続ける女優、美しい髪の客に心惹かれるボーイッシュな女性スタッフ……日本よりよほどモラルに厳しいだろうイスラム国では、日本人が悩むよりさらに大きな悩みのはずですが、でもどの悩みも日本人である我々にも通じるもの。ガールズトークは洋の東西も宗教も問わないのだなあと思うとなかなか感慨深いです。レバノンはほとんどの日本人にとってとても遠い国(距離的にも意識的にも)だと思いますが、この映画を見たらぐっと身近に感じるのではないかな、と思います。
上述の通り、さまざまな登場人物に関わるエピソードを短く繋いでストーリーが進んでいくのですが、洋服の仕立て屋さんを生業とする老姉妹のエピソードが胸に迫りました。
ちなみに、タイトルの「キャラメル」は食べるのではなくて、脱毛に使うんだそうです。砂糖と水を火に掛けて、レモン汁を入れて練って作ったキャラメルを、肌に貼ってピッと剥がして毛を抜くシーンが出てきます。
それにしても、主演のナディーン・ラバキーが美しすぎる!*1いかにもエキゾチックな美女、という感じでたまらないです。実は彼女、本作品の監督かつ脚本家でもあるのですね。なんという才女!!!彼女以外の出演者は、すべてプロの俳優ではなく、一般人を口説いて集めたというのも驚きました。
全編、アラビア語とフランス語の響きも心地よい120分。女の人の話すアラビア語ってすごく好きなんで、目だけでなく耳でも楽しめました。まさに佳作というにふさわしい映画、とくに女性におすすめです。
↑予告編の動画を見つけたので貼っておきます。もう東京では公開が終わってしまったかな?(3/15追記)
*1:こんな美女なのに、相手の男はパッとしないんだよな……インド映画みたいですねえ。