ayanologはてな館

主に東京の東側で暮らしている私の日々を、ごはんやおやつの話を中心につづります。ayanoのblogなのでayanolog。夏の間はかき氷専門ブログ「トーキョーウジキントキ」もやってます。2013年10月に、はてなDiaryからHatena Blogへ引っ越してきました。

今さらですが……2016年に観た映画を振り返る【後編】

大変!もう2017年の2月が終わっちゃう……(震)というわけで、2016年に映画館で見た映画全12本の感想を駆け足でまとめた「今さらですが……2016年に観た映画を振り返る【前編】」に続き、2016年に観た映画の感想日記の後編です(我ながら今さらすぎる……)。後編では「これが2016年のマイベスト」と思う3本と、次点のもう1本、合計4本の感想をまとめたいと思います。

私、映画を見た直後に感想をツイートするようにしています。大抵の映画は1~2回ツイートすれば大体の感想はまとまるのですが(280文字あればまとまるってことですね)、面白かった映画や琴線に触れちゃった映画はどうしてもツイート数が多くなりがち。以下4本、当時ツイッターやその他のところに書き散らした感想をもとにまとめました。

●【1位】シン・ゴジラ

https://www.instagram.com/p/BIsPYHZDT4h/

シン・ゴジラ観てきた!ゴジラ知らない私でもめっちゃ楽しめた。エンドロールまで面白い~。マジで実写版エヴァだった。使徒だね(笑)。舞台が東京なのがまた素晴らしい!都庁職員は観るべし。ネタバレしたくないけど一言だけ叫ばせて。在来線~!w

 

2016年に見た映画、1位は「シン・ゴジラ」です。映画館で3回観ましたが、もう2回くらい観ても飽きずに楽しめただろうな、多分。見た直後の感想を一言でいうなら、無人在来線爆弾最高すぎかよ」ですかね。実際、上のInstagramの投稿でも「ネタバレしたくないけど一言だけ叫ばせて。在来線~!」って叫んでますし(笑)。もう今さらネタバレしても怒られないと思うので書くけど、山手線、京浜東北線、中央線、ほかにもあったっけ?JRの色とりどりの車両が東京駅に突っ込んでいくシーンはもう最強に最高でしたよね。そのための東京駅。東京駅の駅舎&線路の上に立つゴジラは最高に絵になっていた。

JRだけじゃなく、京急もしっかり活躍してました。というか京急ってこういうところで協力的な感じがします。だからファンが多いんだろうなあ、などと思ったり。

あとは……いやぁ、いろいろとエヴァでしたねえ。くどいくらい。ゴジラが使途だったとはなあ。「エヴァじゃない」という感想もいくつか見かけましたが、私の中では完全にゴジラでありながらエヴァの世界観。見に行く前に「庵野さん、ゴジラ作ってないでエヴァンゲリオン映画版をはやく完結させればいいのに……」なんて思ってしまってスミマセンでした。逆に私の場合、ゴジラ要素がまったく分からない(これ以外のゴジラ映画を見たことがない)のが悔しかったんで、どこかでゴジラの補習をしないとなあと思っていたんです。でも、結局初代ゴジラを見ないまま年を越してしまった……。

全体的に情報量過多な映画で、気になるポイントもたくさんあって、初見の時は消化しきれなくて「???」って感じでした。初回見たあとに一番誰かと話したかったのは、エンドロールのこと。長谷川博己石原さとみ、あと竹野内豊だっけ? 主演三人だけ特別扱いだった他は3列でズラズラズラズラと役名もなく名前だけが表示されていましたが、あの中に「えっ、どこにいたの?!」という人がいっぱいいて、初見時はあれを見ながら内心「えっ?えっ!誰っ?どこっ?」と思っていました。一番最初にあれっと思ったのは同じ列に出てきたKREVA。他にもミュージシャンぽい人の名前を見た気がして、「あれ?もしかしてミュージシャンも結構出てるの?どこにいた?」と思ったのですが、その十数秒後に二人並んで「小池百合子枝野幸男」の文字が。花森防衛大臣はどうみても小池百合子オマージュだったし、枝野幸男っぽいキャラもいたということでしょうか……と思ったけど、311のときの対応についての情報提供だったみたいですね。あと「えっ、どこにいたの!?」と思ったのは前田敦子(冒頭の海底トンネルのシーンで逃げてる女の子だったらしい)。そして本当の特別扱いは、野村萬斎だったという……w


あと私の周りで盛り上がってたテーマは石原さとみの英語はアリかナシか」。私は彼女は、エヴァンゲリオンのアスカ(でもちょっとミサト風味)の立ち位置だったと理解してたので、いろいろ「ヘン」でもあまり気にしなかったんですよね。実写だけどアニメキャラだから。ボリュームのあるロングヘアをやたらなびかせてたのもアスカっぽいし(そして市川実日子綾波レイっぽい立ち位置かな、と)。

長々書いたわりに内容がなくて自分でも悲しくなってきますが、観てしばらくの間は、熱病のようになって、会う人会う人にシンゴジラの話をしてましたね。感想を話し合ったり、いろんな人の批評や感想ブログを読むのも楽しかった~。文句なく2016年No.1映画だったと思います。そういえば石破茂までブログにシン・ゴジラの感想を書いてましたよね。超まじめなやつ(笑)。

blogos.com

そうそう、2017年2月に改めてこの映画を振り返って思うのは、「今の高橋一生ブームはここから始まったよなぁ」ということ。かなり印象に残る役柄で、シン・ゴジラをきっかけに彼を認識した人も多かったんじゃないかなと。個人的には2016年冬にドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」を見ながら「ヒラマサ役は星野源じゃなくて高橋一生が良かったんじゃないかなあ」と思っていたクチなので、昨今の高橋一生ブームにはちょっと驚いています。

 


【2位】この世界の片隅に

f:id:ayanolog:20170227074535j:plain

2位は、こうの史代原作のアニメ『この世界の片隅に』です。シン・ゴジラと並んで1位が2本にしようかとも思ったのですが、一応2位ということで。限りなく1位に近い2位です。見ている間、何度も泣きそうになってしまい、ずっと我慢してたら頭が痛くなっちゃった。そしてそして、能年ちゃんをキャスティングした人、素晴らしいな……。

これ、テアトルシネマ系の配給だったんで、ずいぶん前から予告編は見ていたのです(普段からよくテアトル系で映画を見てるので)。最初、無料チケットを持ってる新宿テアトルで見ようとしたんだけど、人気すぎて全然席が予約できず、放映する映画館が増えて渋谷ユーロスペースでもやるようになったのでようやく見られたという作品です。

予告編を見ていた時点では、「戦争物なんだろうなー、舞台が広島ってことは原爆モノかなぁ。能年ちゃんは好きだけど、それならあんまり見たくないかな……」と思って、正直敬遠していました。でも、まわりの人たちがあまりに絶賛するので、見に行ったわけです。先入観を捨てて見てよかった。戦争の話も、原爆の話もしているけど、だけど戦争物でも原爆物でもないんだよね、この作品は。

戦争って自分の日常からは遠いというか、“歴史”に近い存在になりすぎていて、「日本の現代史において、かつて戦争をしていた時代があった」みたいな感覚になっていたのです。でも本当は、普通に日常を送っている中で戦争が始まって、それぞれに不便や我慢を強いられてる……という感覚のほうがリアルだったんだろうなと。今の私たちの生活と本当はつながっているのに、そういう感覚がなんというか、肌感覚としてなかったんですよね。それに気付いたとき、物語がぐっと自分に迫ってくるというか、ものすごくリアルに輪郭をもって頭の中で再構築される感覚が、心地よかった。

最初はただストーリーを追うだけだったけど、途中から「すずさんはおそらく、私の祖母と同世代だ」ということに気付いて、帰りは亡くなった祖母を思い出しながら渋谷の街をふらふら歩いて帰りました。私の祖母は浅草生まれで、使用人がたくさんいる大きな洋品屋のお嬢様だったらしいので、多分すずさんとは全然違う日常を送っていたのだろうけれども……。

映画を見終わってすぐ、原作を買って読みました。原作に極めて忠実に映画化されていること、でも原作で詳しく語られている遊郭のリンとのエピソードだけが意識的に減らされているのが一番の驚きだったかな。映画以上の情報量なので、映画を見て良かったと思う方には原作を強くオススメします。

あと、劇場ではパンフレットが売り切れていて買えなかったので、そういう方にはこちらをオススメ。

この世界の片隅に 劇場アニメ公式ガイドブック

この世界の片隅に 劇場アニメ公式ガイドブック

 

 「この世界の片隅に」は、一回見ただけなんですよね。感想を書いてたら、また見に行きたくなってきちゃった。普段の自分なら多分あまり見に行かなかったタイプの映画だと思うのですが、そういうので大当たりしたという意味でもとても印象に残った作品です。"アニメーション"という言葉の原義(animate)は「命を吹き込む」ということで、そういう意味で正しく原作のマンガを動かし、声をのせることで命を吹き込んでいるのだな……と思いました。アニメ映画を見てこんな気持ちになったのは、正直初めてです。


【3位】SCOOP!

f:id:ayanolog:20170202090718j:plain

1位「シン・ゴジラ」、2位「この世界の片隅に」はネットでもめちゃくちゃ話題になっていたので同意してくれる人も多そう。「3位は『君の名は。』あたりじゃないの?」と言われそうですが違います。前編にも書いたけど、私、全然ツボらなかったんですよね、あれ。

というわけで第3位はというと……大根仁監督、福山雅治主演の「SCOOP!」です。「え、それ、観てない」という人も少なからずいそうですが、これ、めちゃくちゃ面白かった!映画の醍醐味をギュッと凝縮したような、本当に面白い映画でしたよ。

わたしはこれ、公開から大分経って、やってる映画館も大分減ってから観ました。福山雅治は別に好きじゃないし、しかもパパラッチの話だしなぁ……と思って気が進まなかったんですよね。大根監督がTwitterでツイートしまくっていたのを見てなかったら、多分観にいかなかったと思う。んで、見終わった直後の感想は一言、「もっと早く観ておけばよかった!」という後悔でした。これ、めっちゃ良かった……!興奮して、映画見た後にツイート連投しまくってしまったので、以下それを再構成して載せますね。

 ↓ ↓ ↓ 

実はわたくし、福山雅治がいいと思ったことが人生で一度もなかったのです。イケメン嫌いだし。ああそれなのに。「SCOOP!」を見て、生まれて初めて福山雅治がかっこいいと思ってしまったよ…くたびれた中年なのに!ヒゲ生えてるのに!カメラマン補正ズルイ‼︎あんなん、二階堂ふみも吉田羊も惚れるわ…。

そう、メインキャストがみな素晴らしいのです。この3人と滝藤賢一、そしてリリー・フランキー。まったく、胡散臭いオッさんを演じさせたらリリー・フランキーは最強だよね。

SCOOP!は、くたびれた堅気じゃない商売の中年男と、若い女の物語。観ながら思い出したのは角川映画の「探偵物語」でした。松田優作福山雅治薬師丸ひろ子二階堂ふみ。昔見たときは薬師丸ひろ子の立場で見てたけど、今は福山雅治と吉田羊の気持ちで見られるようになった。大人になるってそういうことだ…。

観る前は「パパラッチの気持ちなんて分かんないし、写真週刊誌の鉄火場みたいな現場なんてさすがに知らないしなぁ」と思ってたけど、そんなの関係なく引き込まれた。ああいう容赦ないやりとりとか、女子の扱いとか、ハチャメチャな人たちとか、今の出版社には居なさそうだけどね。真面目なエリート編集者多いし。

さんざん下世話な話(下ネタ多め)をテンポよく重ねて盛り上げておいて、途中から綺麗なシーンだの衝撃的なシーンだのうるっとくるシーンだのポンポン突っ込んできて観客を泣かせるのずるい…!映画館のあちこちで笑い声や泣き声が上がってた。うう、面白かった。なんという“やられた”感。あとエンドロール。協力とか提供とかいろんなクレジットを「へ~」と思いながら見てたんですが、「差し入れ提供:TENGA」に笑いました。そんな差し入れってあるんですね…(笑)。

……とまあ、こんな感じ。我ながら興奮しすぎ(笑)

一つだけ出版業界の端っこにいる人間らしい感想を言うなら、あのクラスの雑誌(映画のモデルになっている編集部はFLASHとかFRIDAYあたり)で「目指せ30万部」は寂しいねぇ…と思いました。今、総合週刊誌の発行部数ってあの程度なんだっけ?と思って調べてみたら、FRIDAYが25万。たぶん今週刊誌で一番数が出てるのが週刊文春で66万部、週刊新潮で45万部でした。そうか……結構リアルな数字だったんですね……。


【次点】永い言い訳

f:id:ayanolog:20170227084035p:plain

シン・ゴジラこの世界の片隅にSCOOP!と3本で終えても良かったんですが、もう一つどうしてもこのグループに加えたかったのが「永い言い訳」。気がついたら後編で紹介している4本全部邦画ですよ。まさかこんなに邦画が豊作だと思わなかったよね、2016年。

永い言い訳の主人公は、テレビにもよく出ている人気者の小説家(本木雅弘)。しかし彼は遅咲きで、売れるまで長いこと腕の良い美容師である妻(深津絵里)に養ってもらっていた。妻は、学生時代の友達と一緒にスキー旅行に出かけるが、乗っていたバスが崖から落ちて、事故で亡くなってしまう。そして妻が亡くなったそのとき、主人公は若い女性編集者(黒木華)と不倫の真っ最中だった……。

妻が事故死。普通ならショックでごはんが喉を通らなかったり、妻の思い出にひたったり、家の中にあるあれこれにいちいち妻を思い出したり……としそうなところなのに、主人公は一切そんなことがない(びっくり)。ひどい男だしあまりに自分勝手だし……というのが延々描かれます。凄いなと思ったのが、妻の葬儀が終わったあとで、主人公が自分の名前をエゴサーチするシーン。名前と一緒に検索していたワードが本当に自己中というかナルシストで…ひどいんだけど「これは自分だ」と思ってしまう人もいるかもしれないし、そういう人にはグサグサ刺さる映画なのではと思うわけです。

西川美和監督は、こういう人のいやらしさとか意地の悪い部分を描くのが本当にうまい。普通ならスルーするような心のひだ(の嫌なところ)を丁寧に丁寧に描き出すのが上手だよなあと思うのです。でも、人の意地悪な部分を描きながら、ベースの部分では人間が好きなんだな、というのが感じられる描き方なので、後味が悪くないんですよね(優しい人なんだろうなあ、と会ったこともないのに勝手に思っています)。

で、そんな主人公は、妻と一緒に事故で亡くなった妻の友人の遺族と出会うわけです。主人公とは逆に、愛する妻がこの世から消えてしまったことに未練たらたらな男と、小さな子ども達。この男を演じているのが、私は最後までずーっと「キム兄木村祐一)」だと思っていたのですが、違いました……竹原ピストルでした……スミマセンスミマセン。よく見たら全然似てないし。


竹原ピストル /よー、そこの若いの (Short Ver.)

ちなみにこれ、西川監督が書いた小説が原作で、それを自分自身が監督するという珍しい映画化パターン。原作の小説では複数の登場人物の視点で話が進むため、もっといろんな人の心の中を覗けるようになっています。特に、妻の視点が詳しく書かれているのがいい。原作もすごくいい小説です。Kindleで買ってあっという間に読んでしまいました。おすすめ。

永い言い訳 (文春文庫)

永い言い訳 (文春文庫)

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ 

……ということで、延々と書いてきましたが、振り返ってみればなんと、1~3位&次点の全4本、すべて邦画でした!!!自分が見た映画の振り返りは結構長いことやってるんですが、こんなこと初めてだ……。良かったら、この4本以外に去年見た映画の感想もまとめてますのでご覧ください。

ayano.hatenablog.jp

 2015年以前はこちら。

ayano.hatenablog.jp

ayano.hatenablog.jp

ayano.hatenablog.jp

ayano.hatenablog.jp