トルコ料理とギリシャ料理が似ている理由:阿佐ヶ谷「イズミル」やまけんblog登場記念エントリ
私が愛してやまないトルコ料理店(←とか言いつつ最近行ってない…)、阿佐ヶ谷駅すぐそばの「イズミル」が、ついに土日のランチ営業を開始したそうです!
最近行かれなくてさみしかったんだけど、土日ランチ食べに行ってこようかなぁ。
(イズミルがオープンしたときに撮った写真。クリックすると横600ピクセルに拡大)
で。イズミル愛好家のおうさるさんが、超有名な食い倒れblogことやまけんの出張食い倒れ筆者のやまけんさんを、イズミルにお連れしたらしく、blogにイズミルが登場。これでますますお客が増えそうだな〜。
なお、イズミルについてのやまけんさんのエントリはこちらから(全3部作)。
ところで、やまけんさんのblogのコメントのところで、
「トルコ料理ってギリシャ料理にそっくり」
「トルコの方々が大切にしている食文化を、こんな言い方で切り捨てるのは失礼です」
というバトル(?)が繰り広げられているのだけれど、たしかにトルコ料理とギリシャ料理は似ている。で、これって実は当たり前の話だったりする。
現在のトルコ共和国の前身が、「オスマン(トルコ)帝国」なのはご存じの人も多いはず。オスマン帝国の歴史は大層長いので、領土は時代によってのびたり縮んだりしていたのだけれど、現在のトルコ共和国のあたりとシリアのあたり、そしてギリシャのあたりがほぼ中心部にあたるのは、かの国の長い歴史を通してほぼ変わっていない。
オスマン帝国には、ムスリム(イスラム教徒)や正教徒(ギリシャ正教など、東欧系のキリスト教徒のこと)、ユダヤ教徒などが一緒になって暮らしていたのだけれども、第一次世界大戦のころにオスマン帝国は崩壊し、同じ宗教を信じている人たちが集まってそれぞれの国を作ることになった(もう一つ言葉の要素もあるのだが、話が複雑になるのであえてここでは触れない)。
現在のギリシャからトルコのあたりに住んでいる人たちのうち、ムスリムが集まってできたのがトルコ共和国、ギリシャ正教徒が集まってできたのがギリシャ共和国だ。もともと同じ場所に一緒に暮らしていた人たちなんだから、当然彼らは似たようなものを食べていた。食文化なんてそうカンタンに変わるモノではないので、トルコとギリシャに分かれたあとも彼らは似たようなものを食べてきたし、そして今に至る、というのが真相。つまり、トルコ料理とギリシャ料理は、もともとは同じものなのだ。
たとえば、やまけんさんのblogにも登場するお酒「ラク」はギリシャに行くと「ウゾー」という名前で呼ばれているし、トルコ語の魚の名前は、ほとんどがギリシャ語由来だ(ギリシャ語っぽい語感に慣れないので、トルコ語の勉強をしてたときものすごく覚えにくくて泣いた)。
ブルガリアのヨーグルトもトルコのヨーグルトも非常に似ている(けど、なぜかトルコのほうがヨーグルトのバリエーションは多くて、濃厚なものが多い気がする)。
あと、宗教上というか習慣上の理由によって、食べるもの食べないものが異なる。ムスリムが95%以上を占めるトルコでは豚肉やタコ・イカは食べないけれど、ギリシャ人は好んで食べる。
…とまあそんなわけで、トルコ料理とギリシャ料理は兄弟みたいなもの。似ているのは当然なのであります。なお、トルコとギリシャは大変仲が悪いので、トルコ人に「トルコ料理ってギリシャ料理にそっくりだね」と言ったりとか、ギリシャ人に「ギリシャ料理ってトルコ料理に似てるね」と言ったりとかは、絶対しないように。
なお、トルコ料理について詳しく知りたい人には、鈴木董(ただし)先生の「食はイスタンブルにあり」(NTT出版)を強くお勧め。すごく面白い&日本語の本としてはありえないくらい詳しいです。