ayanologはてな館

主に東京の東側で暮らしている私の日々を、ごはんやおやつの話を中心につづります。ayanoのblogなのでayanolog。夏の間はかき氷専門ブログ「トーキョーウジキントキ」もやってます。2013年10月に、はてなDiaryからHatena Blogへ引っ越してきました。

キャラメルボックス「SKIP」

 ここ2〜3年、演劇集団キャラメルボックスの舞台をほぼ毎回見に行けています(ファンクラブに入っている友人Oさんのおかげなのです…いつもありがとう!!)。

 今まであまり演劇や本の感想をこのblogで書くことはなかったのですが、今回はちょっと気分的に特別なので書こうかな、と思ってます。なにが特別なのかというと、原作が、もともと大好きな小説なんですよね。今回の公演の原作は、北村薫の「スキップ」。

 高校2年生だった一ノ瀬真理子は突然意識を失い、気が付くと25年後の自分、桜木真理子になっています。鏡に映った自分は、すっかり中年になっている一人の女性。目の前には、自分と同じ歳である高校2年生の自分の娘、そして会ったこともない夫が。

 気が付いたら、仕事をし、結婚をし、子供も大きくなっていた……ついさっきまで17歳だったはずなのに、突然42歳になってしまった自分を受け入れられず、また失ってしまった時間の大きさに、真理子は大きなショックを受けます。現実を受け入れることを拒否しつつも、しかし持ち前の真面目さと前向きな性格で、彼女は42歳の国語教師、桜木真理子として生きていくことを決意します。そんな彼女の姿に回りも影響されて……というストーリー。

 何冊か読んだ北村薫の小説の中でも、一番好きなのがこの作品。主人公の真理子が国語教師ということもあり、本編中にはちょっと古いけれど、きれいな日本語がたくさん登場します。文字を見せることができない舞台で、どうやってこれを表現するのだろうというのが、舞台を観る前に一番気になっていたこと。また、体は42歳だけど、心は17歳という真理子をどう表現するのだろうというのがもう一つ気になっていたことでした。

 たいていキャラメルボックスは原作なしのオリジナルストーリーが多いので、今回は舞台が始まるまで、期待半分、不安半分。ちょっとドキドキしながら幕が上がるのを待ちました。

 前半、原作が北村薫ならではの淡々とした物語運びになっているのに対し、ちょっとテンション高めの演技(といっても舞台としては普通なんですが)に少々違和感を覚えたのですが、そんなのは最初の数十分だけでした。だんだん物語に引き込まれていき、途中からはすっかり感情移入。終盤は思わずほろっといってしまいました…。うう、ストーリー分かってるくせに。

 原作のよさを生かしつつ(かなり原作に忠実なせりふが全編散りばめられています)、ちゃんとキャラメルボックスらしい味付けもされています。なんといっても、42歳の真理子を演じている坂口理恵さんが実に巧い!17歳の真理子役と一緒に入れ代わり立ち代わり登場するのですが、違和感なく実に自然です。「ああ、こんな国語の先生に出会えた人は幸せだろうなあ」と思わせるような、いい演技でした。

 あと、主役ではないのですが同じくベテランの西川さん、岡田さつきさんがよかったなあ…って、毎回二人には感心しっぱなしなんですが。笑わせるところでは笑わせ、締めるところはビシッと締めて、実に巧いです。

 スキップは新潮文庫で出ているので(未確認ですが、Yonda?の100冊に入ってるそうです)、興味があるかたは是非是非原作を読んでみてください。舞台は12月25日まで、平日はまだガラガラに席が空いているらしいので(空き席はここで確認できます)、舞台に興味がある人も是非どうぞ。私ももう一回観たいんだけど、平日はさすがに無理なんだよなあ…。

追記:書き終わってから思い出したんですが、今回は「なんか聞いたことある音楽が…」と思いながら観ていました。終わってBGMリスト(これもいつも楽しみだったりする)を見たら、なんと、曲提供が空気公団advantage Lucyadvantage Lucyは新曲での提供でしたよ。もうすぐアルバムが出たりとかするの…かな???