赤羽橋「マキネスティ」(macchinesti)
麻布十番から赤羽橋へ向かう道を歩きながら、私は大きな不安にかられていた。それは、喪失することへの不安。そこにあったものが、なくなっているのではないかという不安。
歩きながら思い出すのは、結局一度も出会うことなく閉店してしまった「フレデリックスケルター」。神谷町に用事があるたびに「行きたいなー」と思っていたのに、時間が合わなかったり、探してもなかったり。とくに数回「住所このへんのはずなのに、どうしてみつからないんだろう?」と思っていたら、最近閉店してしまったことを知ったのでした・・・(号泣)
いったいなんの話かというと、「かつてそこにあったはずの店」を探しているのに見つけられない、ということ。私が探しているのは、以前赤羽橋にあった、とてもおいしい珈琲屋さん。しかし数年ぶりに歩く高速沿いの道は驚くほど景色が変わっており、私の記憶の中の風景とまったく違う。「ここであってるんだっけ?」「いや、住所はこのへんのはず」「でも景色がまるで変わってる。まさか、お店つぶれた?」と不安になっているうちに、フレデリックスケルターのことを思い出し、さらに不安になったのです・・・。
……!
結論から行くと、ありましたよ「マキネスティ」。いわゆるシアトル系エスプレッソカフェの1つで、わりとできてすぐのころ、気に入って数回来たのをおぼえてます。タリーズよりもスタバよりも私は好きだった。コーヒー(エスプレッソか)の味がしっかりしてて、ミルクが甘くまろやかでも、むしろコーヒーを引き立てるんですよね。
久しぶりに飲んだマキネスティのカフェラテは、記憶の中と同じ味。やっぱりおいしいわ〜。
久しく来ていなかった店を訪れるときには、大きく2つ不安があります。1つは店がつぶれてないか?という不安。もう1つは「記憶の中で味を美化してないか?」という不安。マキネスティに関しては、どっちの不安も無用でした。久しぶりに来た店の珈琲が記憶通りにおいしい、なんという幸せ。
ところで初め、私が「店がなくなった?景色がまるで違う?」と思ったのは、麻布十番からの道を一本間違えていたからでした。高速道路を挟んで反対側の道を歩いてたみたい。そりゃ景色もちがうわ・・・さらに家に帰ってきてマキネスティのWebサイトを確認してみたら、赤羽橋店のほかに「麻布十番店」の文字が・・・えー、わざわざ赤羽橋まで歩かなくても、麻布十番にお店があったのね(^^;;;;
東京は本当に店の栄華衰退が激しい街です。お店は一期一会。フレデリックスケルターの話を持ち出すまでもなく、「行きたいな」と思ったらすぐ行かないと、出会えないうちに消えてしまうかもしれない・・・そんなことを思いながら、カフェラテの泡をすすっていた午後でした。