ayanologはてな館

主に東京の東側で暮らしている私の日々を、ごはんやおやつの話を中心につづります。ayanoのblogなのでayanolog。夏の間はかき氷専門ブログ「トーキョーウジキントキ」もやってます。2013年10月に、はてなDiaryからHatena Blogへ引っ越してきました。

梅佳代は若き日のアニー・リーボヴィッツかもしれない

映画を見終わったあと、いろんなことを考えていました。「(ヴァニティ・フェアの表紙に代表される)コマーシャル写真と、単身でロックスターのいる現場に潜り込んで撮った写真と、どちらが彼女の代表作なのだろう」とか、「彼女自身に、自分の代表作を選んでもらうとしたらどれを選ぶんだろう」とか。

で、キース・リチャーズが語るアニーについてのコメントを思い出していて、ふと頭に浮かんだのが梅佳代さん。2006年の木村伊兵衛写真賞を受賞した若手写真家です。「うめめ」はかなりヒットしたし、「情熱大陸」に出ていたのを観た方もいるのでは。彼女について紹介されたテキストとしては、私はデジカメWatchのこれが好き→

若き日のアニーの特徴として語られる、被写体に溶け込んで撮られていると思わせない(=意識させない)、人には見えない場面が見えていてそこを写真にする、眼がいい、というポイントを列挙していて、連想したのが彼女の名前だったわけです。梅佳代もまさにそういう写真家だから。

うめめ
うめめ
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4 時代ニーズにマッチした、独特のセンス
2 大丈夫か?日本、、、
4 爆笑写真群
5 細かい突っ込みどころ満載
4 よく撮ったなぁ...と感心

男子
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5 素朴で平凡で幸福な少年期
5 無敵男子!
4 男子の母
3 うめかよおそるべし。これから楽しみ!
5 お気に入りのアルバムのような

仕事で撮る写真というのには、一定のセオリーというか、定石の「撮り方」があります。ブツ撮りなら光の当て方、角度とか。人撮りならポーズの付け方、表情とか。自分でそれを全て編み出すのは大変なことだけど、師匠について撮り方をマスターすれば、実は場数を踏めば才能がなくてもある程度は撮れます(なんて、アマチュアの私が言うと批判されそうだけども)。

情熱大陸の中で、優香を撮るシーンが出てくるのですが、梅佳代は優香に「こっちおしりむけてー。あのな、おしりとらなあかんのやって。はい、おしり」といいながらグラビア風の写真を撮ります。で、その出来がかなりヒドイ。それは多分、グラビアにはグラビアの写真の作法というのがあるのに、彼女がそれをマスターしていないから。さらにいうなら、「こういうのがグラビアのいい写真」という理解が彼女の頭の中になく、「いい写真を撮ろう」と思っていないからひどい写真ができあがる。

インタビューされる人の素を引き出す写真は、彼女の天性のもの。今は「眼の良さ」勝負で彼女は写真を撮っているわけですが、今後も写真でごはんを食べていこうと思うなら、きっと何らかの「商業写真」を撮らなくてはいけない日がやってくる。

ローリング・ストーン誌でマンネリに陥っていたアニー・リーボヴィッツがビア・フェイトラーに出会って転機を迎えたように、梅佳代にも誰か、師となる人が現れる必要があるのではないか、と勝手ながら思いました。「作り込む写真」「商業写真」に取り組む日が来たら、おそらくその過程で何らかのブレイクスルーがあって、新しい段階の梅佳代写真が生まれるのかもしれないなぁ、と。評論家でもなんでもないのにこんなこと書くのは気が引けるんですが、でも彼女の「眼の良さ」を、「面白い写真」に留めておくのはもったいないなあと思うんですよね……。

「アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生」

ちょっと前の話になりますが、zoomaniaさんにお勧めされていた映画「アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生」を見てきました。アニー・リーボヴィッツジョン・レノンオノ・ヨーコの写真(ジョンが暗殺される数時間前に撮られたモノ!)や、デミ・ムーアの臨月写真などで有名なアメリカの女性写真家。彼女の名前を知らなくても、写真は観たことがある人が多いんじゃないかな。

彼女の被写体になったことがある“超”が付くほどの有名人が続々登場して話をする、そのラインアップだけでも一見の価値有り。写真(家)を主題にした映画は、“大画面スライドショー+BGM”や“淡々としたドキュメンタリー”になりがちで、「写真はいいんだけど、暗いところで見ていると眠くなってくるんだよね」的な映画が多いのですが、この映画は眠くならない、それだけでもよくできている(笑)。

アニーの妹である、バーバラ・リーボヴィッツが監督しているのですが、彼女(たち)が子供のころのホームビデオや写真がちりばめられていたりするあたりは、さすが妹ならでは。

この映画では、彼女のキャリアを大きく3(4)段階に分けて紹介しています。

  1. 第1段階(前半):ローリング・ストーン誌の表紙を撮っていた頃
  2. 第1段階(後半):ビア・フェイトラーとの出会い
  3. 第2段階:ヴァニティ・フェア誌へ移籍
  4. 第3段階:スーザン・ソンタグとの出会い

第1段階の前半、彼女の強みは「被写体(のいる環境)に溶け込むこと」と「天性の眼」だったようです。若い女性カメラマンとしてロック界の数々の大物にかわいがられ、ローリング・ストーンズの全国ツアーに完全密着。バックステージで“素顔の彼ら”を撮った写真を発表。ローング・ストーン誌の当時の編集長やキース・リチャーズは彼女について、こう語ってます。「あのころのストーンズに付いていくなんてとんでもない。やめろといったのについて行ってしまった」「アニーはいつのまにか溶け込んでいた。空気のような存在になっていた」「アニーにはほかの人には見えない絵が見えてる。彼女はそれを写真に撮る」

ロックの世界のカメラマンとして一定の地位を確立したころ、彼女はエディトリアルデザイナーのビア・フェイトラーに出会います。ビア・フェイトラーが教えてくれたのは、「写真のコンセプトを考える」ということ。天性の眼とカンで撮っていたアニーは、観る者に被写体の特徴やコンセプトを伝える写真作りを意識するようになるんですが、この手法がかなりベタなんですよ。BLUES BROTHERSの顔を青く塗るとか。真っ赤なバラを敷き詰めた中に女優を寝そべらせる、ただしバラのトゲは全部手で切る、とかね。

30代に入った頃、ファッション誌「ヴァニティ・フェア」が復刊するということで、その表紙を撮るためにアニーはローリング・ストーン誌から移籍します。伝統あるファッション誌が復刊となれば、話題にはなるけど古くささや昔のイメージに引きずられるおそれもある。そこで、パワーがあり、人々の話題になる写真が撮れる写真家(これはものすごい才能だと思う)アニーに白羽の矢が立った、というわけです。

このころから彼女の写真は、(スナップ的ポートレートではなく)作り込まれた商業写真になっていきます。ものすごい予算をかけて、映画のようにセットを作り、その中にイメージに合わせた豪華な衣装をまとわせた俳優を立たせて、演技をさせて写真を撮る。大勢のスタッフを指揮する監督として、作り込まれた商業写真を撮るというスタイルは、カメラ1つ下げて被写体の中に一人飛び込んでいっていたローリング・ストーンズ誌時代のアニーとはまるで別人のようですが、でも個人的には「莫大な予算と、大勢の人を動かして仕事をするのって仕事の大きな醍醐味だよな」とも思う。

このプロセスで、彼女が撮るポートレートの対象も、ロック界スターだけでなくアメリカのセレブリティ全般へ広がっていきます。デミ・ムーアの臨月写真(↓)とかね。

話は少し逸れますが「どのような現場で作品が撮られるのか」が分かるのも非常に興味深い。プロが写真を撮るところを観る機会って、あまりないじゃないですか。特に“人撮り”は相手の気分をどうのせていって、どういい表情を引き出していくかが大事なのだけど、どんなふうに話しかけたり、ポーズを付けたりするのかって、師匠にでもつかないかぎりなかなか分からないので。

で、映画の終盤ではスーザン・ソンタグとの出会いと別れが描かれます。スーザン・ソンタグ、亡くなってたんですね……知りませんでした。彼女が書いた文章は読んだことあっても、写真を見たのも初めてだったし、いくつなのかも知らなかった。若き日のスーザンが知性漂う綺麗な女性だったことも初めて知りました。アニーは彼女の影響で、サラエボに行って写真を撮ったりもしたらしい。50歳を過ぎてから子どもを3人持つなど、仕事だけでなく、プライベートでもパワフルな人なのだなあと感じさせます。

この映画、いろんな意味で面白いです。趣味でも仕事でも、写真を撮る方には是非観ていただきたいなあ。ただこの映画では、彼女の写真家としてのキャリアを振り返るのが主題で、アニー・リーボヴィッツという人物像を明らかにしたり、彼女のプライベートを開陳したりということにはまったく力を注いでいないんですね。だから観る人によっては「結局アニー・リーボヴィッツっていうのはどういう人間なんだ!まったく伝わって来ないじゃないか!」と思うかもしれない。私は彼女自身のプライベートにはほとんど興味がないので充分満足したけれど。

アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生
★zoomaniaさんの映画の感想はこちら→

錦糸町「トミィ」はかなり印象的な店だった

最近このblogに「代々木上原+カップケーキ」とか「チャプチーノ+カップケーキ」でたどり着く人が多いんですよね。たしかにカップケーキの話も書いたことあるし、代々木上原のパンケーキレストラン・チャプチーノの話も書いたことがあるけれど、でも、チャプチーノのカップケーキの話はここでは書いたことないんだな〜。探しに来た方のお役に立てずに申し訳ないけど、でも私、カップケーキよりパンケーキ&ホットケーキのほうが好きなんだもん。

さて、そんなホットケーキ好きの私が最近幸せになったのがこれ。

Hotcake

錦糸町の珈琲専門店「トミィ」のホットケーキ、420円。注文すると、もったりと重い生地を銅板に丸く載せ、1枚1枚マスターがじっくり焼いてくれます。この形の不揃いさが愛おしい♪

味は生地がほの甘く、バターだけ付けて塩味で食べてもおいしいし、メープルシロップをかけて甘甘にしてもおいしいし。厚くて熱い、幸せな味です。なんというか、しみじみおいしい。しかも、オリジナリティが高い。

写真でどれくらい伝わるか分からないけど、外側はサックリとしていてとてもナイフが入りやすい。スッスッと切れる感覚が気持ちいい&珍しいのです。中はモフッというかふんわりというか、こちらも独特の食感。自分で焼くのでは絶対に再現できないなあ。食感が独特で感動したホットケーキというと香咲を思い出すけど、ここは香咲ともまた違うのですよ。

さて、ノーマルなホットケーキだけで驚いていてはいけません。お次は「チキンバーグ」。

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変わった色の桜写真

早いものでもう4月ですねー。今週末あたりが花見ピークかと思ってたのに、予想より1週間早かったです。あれだけ桜が咲き乱れているのに、やたらと寒い東京。ソメイヨシノも八重桜もしだれ桜も一気に咲いてしまって、なんだかヘンなんじゃない?という気もするのだけれど。

さて、桜が散ってしまう前に今年撮った桜写真を放出してしまおうということで。

kiba07

色合いとして気に入ってる一枚。桜を撮るときって、私が一番気になるのは花びらの形や色、次が背景の色合いです。ピンクの花を、青や緑の背景色で撮るのが好きんだけど、今年は曇ってたり小雨の日が多かったからなあ。曇ってる日は、どうしても背景がグレーになっちゃうんですよね。

kiba02

前に載せたのとおなじ、夕方の木場公園で撮った1枚です。ホワイトバランスを蛍光灯に合わせて、わざと真っ青にしています。

CLUB ROMANTICO最終日

で、シンガポールシーフードリパブリックのパーティーが終わったあと、2次会と称してお招きいただいたのが、ちょうど3月31日で閉店する「CLUB ROMANTICO」。シンガポールシーフードリパブリックと同じ、マルハレストランシステムズが運営する、1年間限定のクラブ?ディスコ?です。

club_romantico_02

おお、ミラーボールだーw で、以下感想なのですが。

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シンガポールシーフードリパブリック

品川駅前(高輪口)に、4月2日にオープンする「シンガポールシーフードリパブリック」のオープニングレセプションにお邪魔してきました。

シンガポールのカニ料理、おいしいんですよね〜!私、大好き。日本のあっさりカニ料理と違って、辛いソース(黒コショウ、チリ、カレーの3種類がスタンダード)で炒めるんです。シンガで食べたときの写真はこちら↓

crab with chili sauce

しかしワタクシ、仕事が終わらず遅刻してしまったんですよ。着いたときにはもうカニは殻すらなかったの・・・(号泣)そんなわけで、焼きそばと炒飯をいただいて帰ってきました。おいしかったけどね、でも残念。提示すると10%オフになるカニバッヂをいただいたので、今年中に食べに行こうと思います^^;;

そうそう、有名なビデオブロガーのTajeeさんにお会いしましたよ。サイトの写真通りのかわいらしい女性でした。シンガポールシーフードリパブリックのカニ料理の様子は、Tajeeさんのblogで動画でごらんくださいませ→

木場公園の桜

夕方、木場公園を通り抜けていると、噴水広場のそばに桜がたっぷり植えられた広場がありました。手前には八重桜。奧はソメイヨシノかな?

Cherry blossoms in Kiba Park, Tokyo 01 square

夕暮れ時で、光の色が面白かったのです。あとでスクエアにトリミングしてみました。

次は、変わった撮り方を試してみた1枚。

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岡本太郎は何をした人なのか

岡本太郎明日の神話」の恒久的な設置場所は渋谷に決まった。渋谷では、JRや地下鉄から京王線に乗り換える途中の広い壁に設置される予定だ。一日ものすごい人が明日への神話の前を行き交うことになる。最後に静かに明日への神話を観たい、という人は、今のうちに木場の東京現代美術館へ行くことをオススメする(6月29日までの特別公開)。

TARO OKAMOTO in MOT

morioさんも書かれているが、テーマを考えれば、設置場所には広島が一番ふさわしいと思う。岡本太郎の代表作である太陽の塔と一緒に見学できるという見地からいけば吹田市も悪くない。しかし一番理由がなさそうな「渋谷」に設置されることが決まってしまった。

明日の神話」誘致委員会の公式サイトに、岡本太郎のプロフィールページがある。以下引用。

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東京現代美術館3連発

MOT collection東京都庭園美術館でやってる、「建築の記憶」に行けなかったことを心底悔やみながら仕事中です。以下、忘れないうちに短く感想を(長く書く気がないともいう)。

  • 川俣正〔通路〕…すみません、まるで理解できませんでした。センスが合わないとしかいいようがないよなあ。「コンセプトそれ自体は興味深い」と頭はそう言うんだけど「でも面白くないんだもん」って私の心が言ってます^^;;
  • MOTアニュアル2008「解きほぐすとき」…若手5人をピックアップ。金氏徹平、手塚愛子という名前は憶えておこうと思った。
  • 常設展&岡本太郎「明日への神話」…これが一番面白かったよ、困ったことに(苦笑)。1つだけ残念だったのが最後の1部屋。宮島達男の「Keep Changing, Connect with Everything, Continue Forever」の隣に、もう1つ発光する作品が……。あの部屋は暗くして、デジタルカウンターだけに没入できるようにしてほしいのに。他に明るい作品があると気が散ってだめなんです。まあその前に岡本太郎を1部屋ぶち抜いて置いてるから仕方ないんだけど。